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犬も歩けば穴に落ちる
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嫌なこところへ行くときに、わたしは髪にいい匂いのする化粧水を吹きつけ、青いアンギン織のマフラーを巻き、がまの油を指先に塗りこむ。
化粧水はすごく好きな友だちがくれたので、マフラーは母親が若いころにしていたのをもらったので、がまの油はばあちゃんが、肌が乾燥するといったら送ってくれた。
わたしはそうやって結界をはる。
わたしの外部、まるでわたしが無価値であるとでもいうようなもの、わたしの嫌いなもの、わたしを制圧しようとするもの、わたしを押しつぶすもの、わたしが怖いもの。わたしが恐れているところのもの。そういうものから、そうやって結界をはる。
すごく不安なとき、わたしは持ち物に名前を書く。
帽子、ふでばこ、ノート、本。ひとつひとつに、丁寧に名を入れていく。わたしのもの。わたしであるもの。わたしを構成するもの。わたしをわたしであらしめるもの。わたしの存在を、担保してくれるところのものたち。わたしのもの。
わたしはそうやって、自分の存在を定着する。逃げ出さないように、飛んでいかないように、消えてしまわないように。かなしく。そうやって定着する。幾重にも幾重にも厚い服を着込んでゆくように、そうやってわたしを定着する。
2009.12.07 | Comments(0) | Trackback() | 未選択
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