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犬も歩けば穴に落ちる
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生きているのが、かなしくてしかたがないので出家でもしようかと思った。もてる人脈をフル活用して、尼さんをみつけてもらって会いにいった。
恵比寿ガーデンプレイスでおちあった尼さんは、ふさふさと髭がはえていた。ひげだひげだ、と思うあまり、「青々とよい禿頭ですね」とわけのわからぬことを言ってしまった。尼さんはあいまいに笑っていた。白いいたちによく似たちいさな人だった。いたちに似た人間というのはあまりたちがよくないものなのだけれど、このいたちはよいいたちだった。そうか、こんないたちもいるのかと感心した。
しばらくお茶をしたあとに、尼さんの知り合いの演奏会に連れて行かれた。区民会館の小ホールをかりきっての室内楽で、わたしは音があまりに浅いので、とてもいらいらした。聴衆は友人知人がおおいのだろう、演奏がおわるごとのおおきな拍手にもいらいらした。アンコールなぞ聞きたくもなかったから、わたしは拍手をしなかった。となりに座った尼さんは、懸命というにふさわしいいちずさで盛大な拍手をおくっていた。
帰り道に尼さんが「みんなでいっしょにやる音楽っていいですね。その時の不協和音みたいなものが、どこかで化けて全体で大きな調和になったりする」と言った。諸法無我という言葉をなんとなく思いだして、まだ出家はとおいかもしれんなあと思った。
2009.11.01 | Comments(0) | Trackback() | 未選択
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