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犬も歩けば穴に落ちる
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どっから間違えていたかといえば、駅から出た瞬間から間違えていたんだと思う。気がついたら目的地から二駅ほども離れたところにいた。なんの疑いもなく逆走していたらしい。何の迷いもないと言うところに、どうしようもない根深さを感じたりしたが、もう慣れっこなのであまり気にしないことにする。反省ばかりしていては、生きてゆけない。
ふとももをあらわにしたおねえさんやら、顔のどす赤いおっさんが肩を組んでうろつく夜の繁華街を、せっせと歩いてもと来た駅をめざす。橋を渡りきったあとの大きな交差点で、尋常でなく叫んでいる人がいた。
微妙に悪げなおっさんに、ゆるく腕をひねられた若者が「もう許してくださいよ!もう金、ほんとにないんすよ!たのむからイチコ(?)だけは取らないでくださいよ!おねがいっすよ!!」と絶叫していた。腕をつかんでいるおっさんはにやにや笑いを浮かべ、仲間らしい3人が夜空にひびく馬鹿笑いをしていた。酔っ払いかと思ったが、若者の顔は普遍的な歪み方をしていた。屠殺されることを知っている牛のような顔だった。
見てしまった、と私は思った。思いながら、しかし目をそらして通り過ぎた。一団が見えなくなると、後ろを同じように黙って歩いていた爺さん二人組みが「なんや、ちゃんとチンコはとついとるやろうに」と言って、例の男たちと同じように笑った。見てしまった、とわたしはもう一度思った。思ったが、早足に駅へ向かい、そのまま家に帰った。目的地にはつかないままだった。
2009.11.22 | Comments(0) | Trackback() | 未選択
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